これはおかしいぞ?
昨年2018年の年末の仕事納めの日、12月28日に、厚生労働省は、右の通達を密かに出しました。
内容は、見過ごすことのできない問題のある内容でした。
半日年休は対象
-法律には何も明記無し-
(疑問1)労働基準法の改正法には、「半日単位での年次有給休暇の取得」を5日付与の控除対象として可とする規定はありません。また省令への委任規定も明記されていません。
従って、5日付与義務の控除対象として「半日単位を控除して計算できる」とする論拠は法的に存在していません。 そもそも半日有休制度は、労働基準法に明記されておらず、昭和63年3月14日基発第150号、平成7年7月27日基発第33号通達などの「通達」に論拠があるものです。
労基法に定める「時間有休」を対象外とする法律はない
(疑問2)時間単位休暇について「使用者による時季指定の対象とはならず、労働者が自ら取得した場合にも」と時季指定と労働者自らの両方について5日付与の控除対象とすることができないと記載していますが、先の(疑問1)と同じく、労基法本文には、「時間有給を除外する」旨の規定はどこにもありません。あるいは厚労省令などへの委任規定も明記されていません。
従って、この解説の「時間有休を除外できる論拠」がありません。
そもそも労働基準法39条第4項において、「時間を単位として有給休暇を与えることができる」と定めているのです。
第4項の時間有給は、廃止されてておらず、年5日取得で計算できる時間としては「除外」された規定はありません。
通達で半日有休が運用されている程度の制度を年5日取得で計算できる時間とし、方や、労働基準法39条第4項で法律として時間有休を認めているにもかかわらず年5日取得で計算できる時間とはしないとすることは、法的整合性に欠けると考えます。
「時間有休」は有給休暇ではないのか? 第4項で定める時間単位有給なるものは、事実上の「有給休暇ではない」とするのと同じ効果となります。
これではたんなる「解説」がそのまま強行され、運用されるとしたら、「解説」が労働基準法を上回るということになります。
適法に手続きされた時間有休を「労働者が自ら取得した場合にも」、これをあえて5日付与の控除対象にしないこととする法的論拠を示してもらいたいと思います。
Comments